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2026.10.10

自筆証書遺言と公正証書遺言、結局どっちがいい?費用・メリット・デメリットを徹底比較

自筆証書遺言と公正証書遺言、結局どっちがいい?費用・メリット・デメリットを徹底比較

 

「遺言書を作っておいた方がいいと思うけれど、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらにすればいいの?」

「自分で書けば無料なのに、わざわざ公正証書遺言にする必要はある?」

「法務局で自筆証書遺言を預かってもらえる制度もあると聞いたけれど、何が違うの?」

遺言書を作成しようとすると、多くの方がこの問題に悩みます。

 

この記事では、自筆証書遺言と公正証書遺言について、費用・作成方法・メリット・デメリットなどを比較しながら、

どのような方にどちらが向いているのかを分かりやすく解説します。

 


〈目 次〉

1.自筆証書遺言とは?

2.自筆証書遺言のメリット

3.自筆証書遺言のデメリット

4.公正証書遺言とは?

5.公正証書遺言のメリット

6.公正証書遺言のデメリット
7.自筆証書遺言と公正証書遺言を比較
8.自筆証書遺言書保管制度という「第三の選択肢」
9.法務局で預かってもらえば内容まで保証される?
10.結局、自筆証書遺言と公正証書遺言はどっちがいい?

11.こんな場合は特に遺言書を作っておきたい
12.遺言書を作るときは「遺留分」にも注意
13.行政書士に遺言書作成を相談するメリット
14.まとめ|大切なのは「どちらで作るか」だけではなく「何を書くか」

 


1.自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、基本的に 遺言者本人が自分で書いて作成する遺言書 です。

原則として、

・遺言書の全文
・作成日付
・氏名

を本人が自書し、押印する必要があります。

 

ただし、財産目録については自筆でなくてもよく、パソコンで作成したものや不動産の登記事項証明書、

預貯金通帳のコピーなどを利用することもできます。

その場合には、財産目録の各ページに署名・押印が必要です。

 

例えば、

「長男に自宅を相続させたい」

「長女に預貯金を相続させたい」

「お世話になった人へ財産を遺贈したい」

といった内容を、自分で遺言書として作成します。

 

証人を用意する必要がなく、自宅でも作成できるため、比較的手軽な遺言方法といえます。

 


2.自筆証書遺言のメリット

 

メリット① 費用を抑えられる

自分で自筆証書遺言を作成して自宅などで保管するのであれば、公証人へ支払う作成手数料は必要ありません。

そのため、「まずは費用をかけずに遺言書を残したい」

という方にとって利用しやすい方法です。

 

メリット② 思い立ったときに作成しやすい

公正証書遺言の場合には、公証人との打合せや必要書類の準備などが必要です。

これに対して自筆証書遺言は、法律上の要件を満たせば自分で作成できます。

財産状況や家族関係が比較的シンプルな場合には、取り組みやすい方法といえるでしょう。

 

メリット③ 証人が不要

自筆証書遺言を作成する際には、証人は必要ありません。

「遺言書を作っていることをできるだけ周囲に知られたくない」

という場合にも利用しやすい方法です。

 


3.自筆証書遺言のデメリット

 

デメリット① 方式を間違える可能性がある

自筆証書遺言は手軽に作れる反面、法律で定められた方式を守らなければなりません。

例えば日付について、

「令和○年○月吉日」

など、具体的な日付を特定できない記載は適切ではありません。

 

また、加筆や訂正にも法律上の方式があります。

せっかく家族のために遺言書を書いても、方式上の問題があると遺言の効力をめぐる問題につながる可能性があります。

 

デメリット② 紛失・破棄・発見されないリスクがある

 

自宅の引き出しや金庫などで保管している場合、

「相続が発生しても家族が遺言書を発見できない」ということがあります。

 

また、紛失したり、第三者によって破棄・隠匿・改ざんされたりするリスクも否定できません。

 

デメリット③ 原則として家庭裁判所の「検認」が必要

自宅などで保管していた自筆証書遺言については、相続開始後、原則として家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

 

公正証書遺言の場合は検認が不要です。

ただし、自筆証書遺言でも、後ほど説明する法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合には検認は不要です。

 


4.公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証人が関与して作成する遺言書です。

遺言者本人が公証人と証人2名の前で遺言内容を伝え、

公証人が遺言者の真意を確認して文章にまとめ、内容を確認したうえで作成します。

 

自筆証書遺言との大きな違いは、

「自分一人で作成するのではなく、公証人が作成に関与する」

という点です。

 

また、原本が公証役場側で保管されることも大きな特徴です。

 


5.公正証書遺言のメリット

 

メリット① 方式不備による無効のリスクを抑えやすい

公正証書遺言では、公証人が遺言者の真意を確認しながら作成します。

そのため、自分だけで作成する自筆証書遺言と比較すると、

方式不備によって遺言が無効になるリスクを大きく抑えられる点がメリットです。

 

特に、

「自宅は長男へ」

「預貯金は長女へ」

「相続人ではない孫にも財産を残したい」

など、具体的な財産の分け方を決めておきたい場合には、遺言内容を正確に文章化することが重要です。

 

メリット② 紛失・改ざんなどの心配が少ない

公正証書遺言の原本は公証役場側で保管されます。

 

「遺言書をどこにしまったか分からなくなった」

「家族が遺言書を捨ててしまった」

「内容を書き換えられてしまった」

といったリスクを防ぎやすくなります。

 

メリット③ 家庭裁判所の検認が不要

公正証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で検認を受ける必要がありません。

そのため、相続発生後に遺言内容を実現するための手続きへ移りやすいというメリットがあります。

 

メリット④ 自分で全文を書く必要がない

自筆証書遺言では、財産目録を除いて原則として本人が全文を自書する必要があります。

一方、公正証書遺言では、本人が遺言全文を手書きする必要はありません。

高齢になって長い文章を書くことが難しい方にとっても、公正証書遺言は選択肢になります。

病気などによって公証役場へ出向くことが難しい場合には、公証人が出張して作成できる場合もあります。

 


6.公正証書遺言のデメリット

 

デメリット① 費用がかかる

公正証書遺言の大きなデメリットは費用です。

公正証書遺言の作成手数料は一律ではなく、遺言によって財産を受け取る人や、その財産の価額などに応じて計算されます。

 

証人を公証役場側で手配する場合の費用、公証人に出張を依頼する場合の費用などが発生することもあります。

具体的な費用については、事前に公証役場へ確認しましょう。

 

デメリット② 証人2名が必要

公正証書遺言を作成するためには、証人2名の立会いが必要です。

 

誰でも証人になれるわけではなく、未成年者、推定相続人、遺贈を受ける人、

それらの人の配偶者や直系血族などは証人になることができません。

適切な証人が見つからない場合には、公証役場で紹介を受けることも可能です。

 

デメリット③ 準備に手間がかかる

公正証書遺言を作成するときには、内容に応じて、

 

戸籍謄本等
不動産の登記事項証明書
固定資産評価証明書や固定資産税の課税明細書
預貯金通帳のコピー

 

などの資料を準備する必要があります。

 

自分で紙に書いて完成させる自筆証書遺言と比較すると、準備には一定の時間と手間がかかります。

 


7.自筆証書遺言と公正証書遺言を比較

 

 

作成方法・保管方法・費用・検認の有無などを比較すると下記のようになります。

 

 


8.自筆証書遺言書保管制度という「第三の選択肢」

 

自筆証書遺言のデメリットを補う方法として知っておきたいのが、自筆証書遺言書保管制度です。

自分で作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)へ預けることができます。

 

保管申請の手数料は 1件3,900円 です。

 

この制度を利用すると、

遺言書の紛失や改ざんを防げる

法務局で方式について外形的なチェックを受けられる

相続開始後の家庭裁判所の検認が不要

相続開始後の通知制度がある

といったメリットがあります。

 

「公正証書遺言ほど費用をかけたくないけれど、自宅に置いておくのは不安」

という方にとっては、非常に有力な選択肢です。

 

▽法務省のホームページもご参照ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/01.html

 


9.法務局で預かってもらえば内容まで保証される?

 

ここは非常に重要です。

 

法務局の自筆証書遺言書保管制度では、民法上の方式について外形的な確認が行われます。

 

しかし、

「この財産の分け方で相続トラブルが起こらないか」

「遺留分にどのような影響があるか」

「希望どおりに財産を承継できる内容になっているか」

といった遺言内容についての法律相談を法務局が行う制度ではありません。

 

つまり、

「法務局で保管された=遺言内容まで完全に問題がないと保証された」という意味ではありません。

 

そのため、遺言内容が複雑な場合には、作成前に専門家へ相談することも検討しましょう。

 


10.結局、自筆証書遺言と公正証書遺言はどっちがいい?

 

結論として、すべての人に一律に「こちらが正解」といえるものではありません。

家族関係、財産額、財産の種類、遺言を作る目的によって適した方法は異なります。

 

自筆証書遺言が向いているケース

例えば、

・できるだけ費用を抑えたい
・財産関係が比較的シンプル
・自分で問題なく文章を書くことができる
・まず遺言書を作っておきたい
・内容を変更する可能性が高い

といった場合には、自筆証書遺言を検討しやすいでしょう。

ただし、自宅保管による紛失などが心配な場合には、法務局の保管制度を利用する方法があります。

 

公正証書遺言が向いているケース

・財産額が大きい
・不動産が複数ある
・相続人が多い
・子どもがいない夫婦
・再婚していて前婚の子どもがいる
・特定の相続人に多く財産を残したい
・相続人以外の人へ遺贈したい
・将来の相続トラブルをできるだけ防ぎたい
・自分で長い文章を書くことが難しい

といった場合には、公正証書遺言を検討するメリットが大きくなります。

 

私共がご相談をお受けする際は、公正証書遺言を基本的にはおすすめしておりまして、

ご相談いただくお客様の9割以上が、公正証書遺言での作成をしております。

 


11.こんな場合は特に遺言書を作っておきたい

 

遺言書は、「財産がたくさんある人だけが作るもの」ではありません。

例えば、次のような方は、遺言書を検討することをおすすめします。

 

・子どもがいない

子どもがいない場合、配偶者だけでなく、父母や兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。

遺言書がなければ、思わぬ親族と遺産分割協議をすることになるケースもあります。

 

・再婚している

前の配偶者との間に子どもがいる場合、その子どもも相続人となります。

現在の家族だけで相続するとは限りません。

 

・子ども同士の関係が複雑

家族間の関係が複雑な場合、遺産分割協議が難航する可能性があります。

あらかじめ遺言書で財産の分け方について意思を示しておくことが、トラブル防止につながる場合があります。

 

・特定の子どもに多く財産を渡したい

「長年、自分の面倒を見てくれた長女に多く渡したい」

など、法定相続分とは異なる財産配分を希望する場合には、遺言書の作成を検討しましょう。

 

・内縁の配偶者がいる

内縁の妻・夫は、原則として法定相続人ではありません。

内縁のパートナーに財産を残したい場合には、遺言による遺贈などを検討する必要があります。

 

その他にも、

公益団体に寄付をしたい、お世話になった友人に何か残したい、といった場合も遺言書の作成が必要です。

 


12.遺言書を作るときは「遺留分」にも注意

 

遺言書があれば、どのような内容でも自由に問題なく実現できるとは限りません。

 

例えば、

「財産はすべて長男に相続させる」

という遺言書を作成した場合、他の一定の相続人の遺留分が問題になる可能性があります。

 

遺留分とは、一定の相続人について法律上確保されている最低限度の取り分です。

遺言書そのものが直ちに無効になるという話ではありませんが、相続開始後に遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

 

遺言書を作る目的が、「家族が争わないようにしたい」ということであれば、

単に形式上有効な遺言書を作るだけでなく、相続開始後にどのような問題が起こる可能性があるかまで考えて内容を設計することが重要です。

 


13.行政書士に遺言書作成を相談するメリット

 

自筆証書遺言は自分一人でも作成できます。

また、公正証書遺言についても公証役場へ直接相談することができます。

 

それでも、

「自分の場合、どのような遺言内容にすればいいのか分からない」

「財産を整理するところから手伝ってほしい」

「公正証書遺言を作りたいが、必要書類の準備が大変」

という場合には、行政書士へ相談する方法があります。

 

行政書士法人では、業務範囲内で、

・遺言内容についての希望の整理
・相続関係の確認
・戸籍等の必要書類の収集
・財産資料の整理
・自筆証書遺言の文案作成支援
・公正証書遺言の原案作成支援
・公証役場との連絡や準備

などサポートできることもたくさんございます。

 

「自筆証書遺言にするか、公正証書遺言にするか決まっていない」という段階から相談することも一つの方法です。

 


14.まとめ|大切なのは「どちらで作るか」だけではなく「何を書くか」

 

自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれメリット・デメリットがあります。

また、自筆証書遺言には、法務局で原本を保管してもらえる自筆証書遺言書保管制度があります。

 

 

遺言書は、作ること自体が目的ではありません。

自分が亡くなった後に財産をどのように引き継いでもらいたいのかを明確にし、残された家族の相続手続きを円滑にするためのものです。

 

「自分の場合はどちらの遺言が適しているのか」

「子どもがいないので妻に財産を残したい」

「特定の子どもに自宅を相続させたい」

「自筆証書遺言を作ったけれど、この内容で大丈夫なのか不安」

「公正証書遺言を作りたいが、何から準備すればよいか分からない」

という場合には、早い段階から行政書士などの専門家へ相談し、ご自身の家族関係や財産状況に合った遺言書を検討してみましょう。

 

当法人では、遺言書の作成について・生前対策についてのご相談も承っております。

ぜひお気軽にご相談ください!

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この記事を書いた人

藤本 千夏

行政書士
ご家族の皆様にご納得いただけるご相続となるよう、共に考えてまいります。 ご相続のお手続きを通して、ご家族の皆様の【これから】を 皆様の立場に立って、一緒に考えていけるところが、相続を専門とする私の強みです。
行政書士登録番号:24093643