相続手続きは誰に相談する?司法書士・行政書士・税理士・弁護士の違いをわかりやすく解説

相続手続きは誰に相談する?司法書士・行政書士・税理士・弁護士の違いをわかりやすく解説
親や家族が亡くなって相続手続きを始めようとしたとき、
「司法書士と行政書士は何が違うの?」
「相続税について相談するなら誰?」
「兄弟でもめている場合は?」
「不動産の名義変更をお願いしたい場合は?」
など、どの専門家へ相談すればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
相続手続きには、戸籍収集、相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議書の作成、不動産の相続登記、相続税の申告など、さまざまな手続きがあります。
さらに、相続人同士で争いが発生することもあります。
こうした手続きをサポートする専門家として代表的なのが、
司法書士・行政書士・税理士・弁護士 です。
ただし、それぞれの専門家には得意分野や法律上取り扱える業務の範囲があります。
この記事では、相続手続きを誰に相談すればよいのか、司法書士・行政書士・税理士・弁護士の違いを分かりやすく解説します。
〈目 次〉
1.相続手続きは一人の専門家ですべて対応できるとは限らない
2.司法書士|不動産の相続登記を相談したい場合
3.司法書士に相談するのがおすすめのケース
4.税理士|相続税について相談したい場合
5.相続税がかかりそうなら早めに税理士へ
6.不動産がある場合は「司法書士」と「税理士」の両方が必要になることも
7.弁護士|相続人同士でもめている場合
8.「遺産分割協議書を作りたい」のか「遺産分割でもめている」のかで違う
9.土地家屋調査士が必要になるケースも
10.行政書士|相続手続きに必要な書類作成などを相談したい場合
11.相続の最初の相談は、行政書士がおすすめ!
12.相続手続きの専門家を簡単に整理すると?
13.相談するときに準備しておくとよいもの
14.まとめ|相続は相談内容によって専門家が違う
1.相続手続きは一人の専門家ですべて対応できるとは限らない
まず知っておきたいのが、相続にはさまざまな手続きがあるということです。

例えば父親が亡くなり、
・自宅の土地・建物
・預貯金3,000万円
・株式500万円
・自動車
・生命保険
などが残されたとします。
相続人は母親、長男、長女の3人です。
この場合でも、
「誰が相続人なのか確認する」
「相続財産を調べる」
「誰がどの財産を取得するのか決める」
「遺産分割協議書を作成する」
「預貯金の相続手続きをする」
「不動産の相続登記をする」
「相続税が必要か確認する」
など、複数の手続きが発生する可能性があります。
そして、これらすべてを同じ専門家が取り扱えるとは限りません。
そのため、「自分が何をしてほしいのか」「自分が何をしなくてはいけないのか」から専門家を選ぶことがポイントです。
2.司法書士|不動産の相続登記を相談したい場合
相続財産に土地や建物が含まれている場合、特に関係が深い専門家が 司法書士 です。
司法書士は登記手続きの専門家であり、不動産の相続登記を依頼することができます。
戸籍等の公的書類の収集、相続関係説明図や遺産分割協議書など登記申請に必要な書類の作成、相続登記の申請などを行う専門家です。
例えば、
「父名義の自宅を母名義に変更したい」
「祖父名義の土地が残っている」
「何十年も相続登記をしていない」
「相続した土地が複数ある」
「親族との共有不動産がある」
といった場合には、司法書士への相談を検討するとよいでしょう。
3.司法書士に相談するのがおすすめのケース

司法書士への相談が適している代表的なケースは、
不動産の相続登記をしたい場合 です。
例えば、
父死亡
↓
相続人は母・長男・長女
↓
遺産分割協議で母が自宅を取得
↓
父から母へ相続登記
という手続きを依頼することができます。
また、
「祖父名義のまま30年間登記していない」というようなケースでは、祖父の相続から現在までの相続関係を整理しなければならないことがあります。
古い相続や数次相続など、不動産登記が複雑になっている場合も司法書士への相談を検討するとよいでしょう。
4.税理士|相続税について相談したい場合
亡くなった方の財産が多い場合に重要になる専門家が 税理士 です。
税理士は税務の専門家です。
相続では、
「相続税がかかるのか知りたい」
「土地の相続税評価をしてほしい」
「相続税の申告書を作ってほしい」
「配偶者の税額軽減を利用したい」
「小規模宅地等の特例が使えるか知りたい」
「生前贈与が相続税にどう影響するのか確認したい」
といった場合に税理士へ相談します。
5.相続税がかかりそうなら早めに税理士へ

相続税には申告期限があります。
原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内
に相続税の申告・納税をする必要があります。
10か月と聞くと、まだ時間があると思うかもしれません。
しかし実際には、
相続人調査
↓
財産調査
↓
不動産評価
↓
遺産分割協議
↓
相続税計算
↓
申告・納税
と申告までにやらなくてはならないことはたくさんあります。
そのため、相続税がかかる可能性がある場合には、相続発生後の早い段階で税理士へ相談することが大切です。
6.不動産がある場合は「司法書士」と「税理士」の両方が必要になることも
例えば父親が亡くなり、相続人は配偶者(母親)と息子1名とします。
父親の財産としては、
自宅 4,000万円相当
賃貸アパート 5,000万円相当
預貯金 4,000万円
株式 2,000万円
などの財産があったとします。
このようなケースでは、
不動産の相続登記
→司法書士
相続税の計算・申告
→税理士
というように、複数の専門家が関わる可能性があります。
相続登記をしたから相続税申告も終わった、あるいは相続税申告をしたから相続登記も終わった、という関係ではありません。
登記と税金は別の手続きと覚えておきましょう。
7.弁護士|相続人同士でもめている場合

相続人同士で争いが発生している場合に相談する専門家が**弁護士**です。
例えば、
「兄が遺産を独占しようとしている」
「遺産分割の話し合いに応じてくれない」
「遺言書の有効性について争いになっている」
「使途不明金について相続人同士で対立している」
「遺留分について請求したい」
「家庭裁判所で遺産分割調停をしたい」
といった場合です。
このように、相続人同士の主張が対立し、法律上の紛争になっている場合には、弁護士への相談を検討することになります。
※弁護士の先生は訴訟業務を丸投げで依頼することができます。
弊所グループ会社の 司法書士法人KSC では、書類作成や期日同行という形で
ある程度ご自身でご対応いただく必要がございますが、弁護士の先生よりお費用を抑えて、調停等裁判手続のお手伝いが可能です。
8.「遺産分割協議書を作りたい」のか「遺産分割でもめている」のかで違う
専門家選びで特に分かりやすいポイントがあります。
例えば、
「相続人全員で話し合いがまとまっているので、その内容を書類にしたい」
というケースと、
「兄と妹で自宅を誰が相続するか意見が対立している」
というケースでは状況が大きく異なります。
前者であれば、相続手続きに必要な遺産分割協議書の作成について行政書士等へ相談できる場合があります。
不動産の相続登記まで依頼するのであれば、司法書士へ相談する方法があります。
一方、後者のように相続人間に争いがあり、
「自分の代わりに相手と交渉してほしい」
「遺産分割調停で代理してほしい」
という場合には、弁護士への相談を検討することになります。
つまり、 書類を作ること と、相手方と法律上の紛争について交渉すること は別だと考えると分かりやすいでしょう。
9.土地家屋調査士が必要になるケースも
相続では、司法書士・行政書士・税理士・弁護士以外に、 土地家屋調査士 が関係することもあります。
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記や土地の測量などを取り扱う専門家です。
例えば、
「相続した建物が未登記だった」
「登記されている建物の床面積などが現況と違う」
「土地を分筆したい」
「境界について確認する必要がある」
といったケースです。
相続した不動産の状況によっては、司法書士と土地家屋調査士が連携して手続きを進める場合もあります。
10.行政書士|相続手続きに必要な書類作成などを相談したい場合
行政書士は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類などの作成を取り扱う専門家です。
相続の場面では、個別の状況や業務範囲に応じて、
・戸籍等の収集
・相続人調査
・相続関係の整理
・相続財産に関する資料の整理
・財産目録の作成
・遺産分割協議書の作成
・各種相続手続きに必要となる書類の作成
などを依頼できる場合があります。
特に、
「何から始めればよいか分からない」
「戸籍を集めるのが大変」
「相続人が誰なのか確認したい」
「預貯金などの相続手続きを進めたい」
「相続人全員で話し合いは終わっているので、その内容を遺産分割協議書にしたい」
といったケースでは、行政書士への相談を検討することができます。
11.相続の最初の相談は、行政書士がおすすめ!

行政書士は、相続に関する相談の入り口として、必要な手続きの判断と、必要な専門家へのおつなぎをする役割も担っています。
弁護士の先生や税理士の先生は、税務申告や争いごとがない場合のお手続など、専門の部分に特化した先生方ですので
綜合的な相談や、一般的に必要になる手続きの流れについては、対応できない場合もございます。
行政書士は、相続のはじめの相談係として、ご家族様の状況の確認と必要な手続きのさび分けを行うことが多いです。
亡くなられた方のお手続は期限のあるものもあり、手続き自体が多い中で
ご家族様の状況に応じてどの手続きが必要かを判断していく作業はなかなか大変です。
必要な手続きのピックアップは、行政書士(もしくは司法書士)が得意です。
特に弊所では、相続手続きはもちろん、相続の入り口として最初のご相談はたくさんご依頼いただいておりますので
そもそも何をしたらいいのかわからない、という場合にも、安心してお任せいただけると思います。
12.相続手続きの専門家を簡単に整理すると?
代表的な相談内容を整理すると、次のように考えると分かりやすいでしょう。
司法書士
→不動産の相続登記、登記に必要な戸籍収集・書類作成など
税理士
→相続税の計算・申告、税務相談、財産の税務上の評価など
弁護士
→相続人間の紛争、遺産分割の交渉・調停、遺留分をめぐる争いなど
土地家屋調査士
→土地の測量・分筆、建物表題登記など不動産の表示に関する登記
行政書士
→相続関係の調査・整理、遺産分割協議書などの書類作成、各種相続手続きの支援など
相続の初回相談(相続手続きのピックアップ・期限のある手続きの確認など)
ただし、実際の相続は複数の問題が重なっていることが多いため、一つのケースに複数の専門家が関与することも珍しくありません。
相続について相談するときは、「相続について相談したい」だけではなく、
「今、何に困っているのか」を整理してみましょう。
「不動産もある」
「相続税も心配」
「遺産分割協議書も必要」
というように複数の手続きが必要になることもあります。
その場合には、各分野の専門家が連携できる体制があるか確認するのも一つの方法です。
KSCグループでは、行政書士を中心に、提携の司法書士・弁護士・税理士・土地家屋調査士・宅建士など
様々な専門家と連携して、ワンストップで相続サービスをご提供させていただきます!
13.相談するときに準備しておくとよいもの
専門家へ相続相談をするときには、手元にある範囲で資料を準備しておくと話がスムーズです。
例えば、
・死亡届
・遺言書
・固定資産税納税通知書
・登記事項証明書
・預貯金通帳
・証券会社からの書類
・生命保険関係書類
・借入金の資料
・過去の確定申告書
などです。
すべてそろっていなくても相談はもちろんできますが、資料があると相談に対してより具体的な回答をもらえます。
「何が必要か分からない」という場合には、まず現在分かっている範囲を整理して相談するとよいでしょう。
14.まとめ|相続は相談内容によって専門家が違う
相続手続きにはさまざまな専門家が関わります。
相続手続きでは、「どの資格の専門家に相談するか」だけではなく、
「自分の相続では何の手続きが必要なのか」を最初に整理することが重要です。
特に2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、
義務化前から相続したことを知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
また、相続税の申告が必要な場合には、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内という期限があります。
「どの専門家に頼めばいいのか分からない」と悩んでいる間にも、相続手続きの期限は進んでいきます。
不動産があるのか
相続税が発生しそうなのか
相続人同士で争いがあるのか
どのような書類・手続きが必要なのか
を整理し、それぞれの手続きに適した専門家へ早めに相談することが、相続をスムーズに進めるためのポイントです。
弊所にご相談いただく場合は、どの手続きが必要になるのか・どの専門家に手続きを依頼すべきか
そこから一緒に確認させていただきますので、お気軽にご相談ください!
