法定相続情報一覧図とは?作成方法・必要書類・メリットをわかりやすく解説

法定相続情報一覧図とは?作成方法・必要書類・メリットをわかりやすく解説
親や家族が亡くなり、相続手続きを始めようとすると、さまざまな書類が必要になります。
特に大変なのが、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを集める作業です。
「銀行で相続手続きをするたびに戸籍を提出しなければならないの?」
「複数の銀行口座がある場合、手続きを簡単にする方法はない?」
「法定相続情報一覧図があると便利と聞いたけれど、どんな書類?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで知っておきたいのが、法定相続情報証明制度です。
この制度を利用すると、亡くなった方と相続人の関係を一覧にした「法定相続情報一覧図」について、法務局の認証が付いた写しを取得できます。
取得した一覧図の写しは、預貯金の相続手続きや不動産の相続登記など、さまざまな手続きに利用できます。
〈目 次〉
1.法定相続情報一覧図とは?
2.法定相続情報一覧図はどんな手続きに使える?
3.法定相続情報一覧図を作成するメリット
4.法定相続情報一覧図のデメリット・注意点
5.法定相続情報一覧図の作成に必要な書類
6.法定相続情報一覧図の作成方法・手続きの流れ
7.法定相続情報一覧図は何通取得できる?
8.相続放棄をした人も一覧図に記載される?
9.まとめ|法定相続情報一覧図は相続手続きを効率化する便利な制度
1.法定相続情報一覧図とは?
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)と、その法定相続人との関係を一覧にまとめた図に
法務局の登記官が認証印を押した書類のことです。
例えば、父親が亡くなり、相続人が母親、長男、長女の3人だったとします。
この場合、一覧図には、亡くなった父親の氏名や生年月日、死亡年月日などとともに、
母親、長男、長女が法定相続人であることを記載します。
法定相続情報証明制度では、必要な戸籍等と一覧図を法務局に提出し、登記官が内容を確認します。
確認が完了すると、法務局の認証文が付いた「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。
この認証付きの写しを利用することで、相続手続きのたびに大量の戸籍謄本を提出する負担を軽減できる場合があります。
法定相続情報証明制度は、2017年5月29日から始まった制度です。
2.法定相続情報一覧図はどんな手続きに使える?
法定相続情報一覧図の写しは、さまざまな相続手続きに利用できます。
代表的なものは次のとおりです。

- 銀行預貯金の解約・払戻し
- 不動産の相続登記
- 証券会社での株式等の相続手続き
- 相続税の申告
- 一部の年金関係手続き
例えば、亡くなった父親が5つの銀行に口座を持っていたとします。
通常、それぞれの銀行で相続関係を確認するための戸籍謄本などが必要になります。
しかし、法定相続情報一覧図の写しを利用できれば、
各銀行へ大量の戸籍を持参する代わりに、一覧図の写しを提出して手続きを進められる場合があります。
3.法定相続情報一覧図を作成するメリット
メリット① 戸籍謄本を何度も提出する負担を減らせる
最大のメリットは、相続手続きに必要な戸籍関係書類の提出負担を軽減できることです。
例えば、亡くなった方が何度も転籍していた場合、出生から死亡までの戸籍を集めると、書類が10通以上になることもあります。
これらの戸籍を銀行や証券会社などへ何度も提出するのは大変です。
法定相続情報一覧図を取得しておけば、対応する手続きでは認証付きの写しを利用できるため、書類の準備が楽になります。
メリット② 複数の相続手続きを同時に進めやすい
相続手続きでは、
A銀行の預貯金解約
B銀行の預貯金解約
C証券会社の株式相続
不動産の相続登記
など、複数の手続きが必要になることがあります。
戸籍謄本の原本を1セットしか持っていない場合、提出先から返却されるのを待たなければならないこともあります。
法定相続情報一覧図の写しは必要な通数を取得できるため、複数の手続きを並行して進めやすくなります。
メリット③ 法務局での交付手数料が無料
法定相続情報一覧図の写しは、法務局で無料で交付してもらえます。
必要な通数を取得できるため、複数の銀行などで相続手続きをする場合にも便利です。
(ただし、制度を利用するために必要な戸籍謄本や住民票などの取得費用は別途かかります。)
(行政書士などの専門家へ依頼する場合には、専門家報酬が発生します。)
メリット④5年間は再発行可能
一覧図の写しが追加で必要となった場合は、
5年間(申出日の翌年から起算)保存されますので、この間であれば再交付を受けることが可能です。
4.法定相続情報一覧図のデメリット・注意点
デメリット①最初に戸籍を集める必要がある
法定相続情報一覧図を作成するためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを収集し、
法定相続人を確定する必要があります。
つまり、この制度を利用すれば戸籍収集そのものが不要になるわけではありません。
また、一覧図はあくまでも法定相続人の関係を証明するものです。
デメリット② 法定相続情報一覧図の作成に手間がかかる
法定相続情報一覧図は、法務局の登記官にチェックをしてもらう書類で、
記載方法のルールも、提出する戸籍謄本等の資料も、しっかりルールが定められています。
情報も誤記があると、補正などで、何度も法務局とやり取りが発生します。
5.法定相続情報一覧図の作成に必要な書類
法定相続情報一覧図を作成するためには、主に次の書類が必要です。
|
必要書類 |
内容 |
|
被相続人の戸籍謄本等 |
出生から死亡までの連続した戸籍 |
|
被相続人の住民票除票 |
最後の住所を確認する書類 |
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相続人の戸籍謄本等 |
相続開始時点で相続人であることを確認する書類 住所を記載する場合は、現在の住所証明として戸籍の附票や住民票が必要 |
|
申出人の本人確認書類 |
運転免許証のコピーなど |
|
法定相続情報一覧図 |
相続関係を整理して作成した図 |
|
申出書 |
法務局へ提出する申出書 |
なお、被相続人の住民票の除票が取得できない場合には、戸籍の附票などで対応できる場合があります。
必要書類は相続関係によって異なるため、事前に確認しましょう。
法定相続情報一覧図は、相続人の住所は記載ありでもなしでも作成できます。
住所の記載がないと、法定相続情報一覧図だけでなく、住民票や戸籍の附票が別途必要になる可能性が高いです。
せっかく法定相続情報一覧図を作成するのであれば、取得後の相続手続きの手間を軽減するためにも
最初から記載するよう手配するのがおすすめです。
6.法定相続情報一覧図の作成方法・手続きの流れ
STEP1 亡くなった方の戸籍を収集する
まず、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集します。
戸籍は、結婚、転籍、法改正による改製などによって複数に分かれていることがあります。
そのため、死亡時の戸籍だけでなく、出生までさかのぼって確認することが重要です。
STEP2 相続人を確定する
集めた戸籍を確認し、誰が法定相続人になるのか調査します。
例えば、亡くなった方に子どもがいる場合と、子どもがおらず兄弟姉妹が相続人になる場合とでは、必要な戸籍の範囲が異なります。
相続人を漏れなく確認することが大切です。
STEP3 法定相続情報一覧図を作成する
戸籍から判明した相続関係をもとに、法定相続情報一覧図を作成します。
法務局のホームページには、配偶者と子どもが相続人になる場合、
兄弟姉妹が相続人になる場合、代襲相続が発生している場合などの様式・記載例が公開されています。
これらを参考に作成するとよいでしょう。
▽法務局のホームページです。ご参照ください。
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
STEP4 申出書を作成して法務局へ提出する
一覧図が完成したら、必要書類と申出書を法務局へ提出します。
申出先は、次のいずれかを管轄する法務局です。

- ・被相続人の死亡時の本籍地
- ・被相続人の最後の住所地
- ・申出人の住所地
- ・相続人名義の不動産の所在地
申出は窓口のほか、郵送でも可能です。
STEP5 認証付きの一覧図の写しを受け取る
法務局で書類の確認が完了すると、登記官の認証文が付いた法定相続情報一覧図の写しが交付されます。
取得した写しを、銀行や証券会社などの相続手続きで利用します。
7.法定相続情報一覧図は何通取得できる?
法定相続情報一覧図の写しは、必要な通数を無料で取得できます。
例えば、銀行3行、証券会社1社、不動産の相続登記
という場合、複数通を取得しておくと便利です。
また、法定相続情報一覧図は法務局で5年間保存され、その期間内であれば再交付を受けることができます。
ただし、再交付を申し出ることができるのは、原則として最初の申出時に申出人となった方です。
他の相続人が自由に再交付を受けられるわけではない点に注意しましょう。
8.相続放棄をした人も一覧図に記載される?
相続放棄をした人についても注意が必要です。
法定相続情報一覧図は、戸籍等から確認できる法定相続人の関係を示すものです。
そのため、家庭裁判所で相続放棄をした人も、原則として一覧図に記載されます。
一覧図だけで相続放棄の有無まで証明できるわけではありません。
相続放棄をしたことを証明する必要がある場合には、相続放棄申述受理証明書など、別の書類が必要になることがあります。
9.まとめ|法定相続情報一覧図は相続手続きを効率化する便利な制度
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方と法定相続人との関係を一覧にまとめた書類です。
法務局で認証された写しを取得することで、銀行預貯金の相続手続き、不動産の相続登記、株式の相続手続きなどに利用できます。
特に、複数の銀行口座や証券口座がある場合には、相続手続きを効率的に進めるための有効な方法です。
一方で、最初に戸籍を収集する必要があり、遺産分割協議書などの代わりになるわけではありません。
また、相続放棄の有無や、実際に誰がどの財産を取得するのかまで証明するものでもありません。
「親が亡くなり、複数の銀行で手続きが必要」
「相続人が多く、戸籍の収集が大変」
「法定相続情報一覧図を作りたいけれど、何から始めればよいか分からない」
という場合には、行政書士などの専門家へ相談することも検討してみましょう。
