相続登記の義務化とは?期限は3年!過去の相続や罰則についてもわかりやすく解説

相続登記の義務化とは?期限は3年!過去の相続や罰則についてもわかりやすく解説
親が亡くなって自宅や土地を相続したものの、
「名義変更は急がなくても大丈夫だろう」
「実家に住み続けるだけだから、父名義のままでも問題ない」
「兄弟で誰が相続するか決まっていないので、そのままにしている」
という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、2024年(令和6年)4月1日から相続登記が義務化されています。
相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
さらに注意したいのは、2024年4月1日以降に発生した相続だけが対象ではないということです。
例えば、
「父が10年前に亡くなったが、自宅がまだ父名義になっている」というケースでも、相続登記の義務化と無関係ではありません。
この記事では、相続登記の義務化について、いつまでに登記しなければならないのか、
過去の相続はどうなるのか、登記しなかった場合のペナルティ、遺産分割がまとまらない場合の対応などを分かりやすく解説します。
〈目 次〉
1.そもそも「相続登記」とは?
2.相続登記はいつから義務化された?
3.相続登記の期限は「3年」
4.「亡くなった日から必ず3年」ではない
5.2024年4月1日より前の相続も義務化の対象!
6.相続登記をしないと「10万円以下の過料」の可能性
7.「正当な理由」があればどうなる?
8.遺産分割がまとまらない場合はどうする?
9.「相続人申告登記」とは?
10.相続人申告登記をすれば、その後は何もしなくていい?
11.3年以内に遺産分割が成立した場合は?
12.遺言書がある場合は?
13.相続登記を放置すると過料以外にも問題がある
14.相続登記の義務化チェックリスト
15.まとめ|相続登記は「そのうち」ではなく期限内に
1.そもそも「相続登記」とは?
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、土地や建物の登記名義を亡くなった方から相続人へ変更する手続きです。
例えば父親が亡くなり、父親名義の自宅を長男が相続することになったとします。
登記簿上の所有者 → 父親
となっているものを、
登記簿上の所有者 → 長男
へ変更するのが相続登記です。
土地や建物の所有者については法務局の登記簿に記録されています。
そのため、不動産を相続したからといって、自動的に登記名義が相続人へ変更されるわけではありません。
相続人自身が必要な手続きを行う必要があります。
2.相続登記はいつから義務化された?
相続登記は 2024年(令和6年)4月1日から義務化 されています。

それ以前は、相続登記について法律上の申請期限が定められていなかったため、
「売却するときに登記すればいい」
「特に困っていないのでそのままにしている」というケースも少なくありませんでした。
しかし、相続登記をしないまま長期間放置すると、
登記簿を確認しても現在の所有者が分からない「所有者不明土地」が発生する原因になります。
所有者不明土地が増加すると、土地の管理や民間取引、公共事業などを進めるうえでも問題となります。
こうした問題の解消・予防を目的として法律が改正され、相続登記が義務化されました。
▽法務省からも簡単なお知らせ動画が公開されています。
3.相続登記の期限は「3年」
相続登記の義務化で最も重要なのが、3年という期限です。
基本的なルールとして、相続によって不動産を取得した相続人は、
「自己のために相続の開始があったことを知り、
かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
簡単にいうと、
「不動産を相続したことを知ったら、原則3年以内に登記する」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
例えば、
2026年6月1日 父親死亡
2026年6月1日 父親名義の自宅を相続したことを知った
というケースであれば、原則としてそこから3年以内に相続登記を行う必要があります。
4.「亡くなった日から必ず3年」ではない
ここは誤解されやすいポイントです。
相続登記の期限は、単純に「親が亡くなった日から3年」と決まっているわけではありません。
ポイントは、
「その不動産を相続によって取得したことを知った日」です。

例えば父親が亡くなった時点では、「父には不動産はない」と思っていたとします。
ところが数年後、財産調査をした結果、父親が地方に山林を所有していたことが判明したとします。
このような場合には、父親が亡くなったことを知っただけで直ちにその不動産についての申請義務が発生するわけではなく、
相続によってその不動産の所有権を取得したことを具体的に知った時点が問題になります。
したがって、「親が亡くなって3年以上経っているから、すでに期限切れだ」
と一律に判断するのではなく、不動産の存在や取得をいつ知ったのかを確認することが重要です。
5.2024年4月1日より前の相続も義務化の対象!
相続登記の義務化について、特に注意していただきたいのがこの点です。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象になります。
例えば、
2010年 祖父死亡
2018年 父死亡
という古い相続であっても、現在まで相続登記をしていない不動産があれば、義務化の対象となる可能性があります。

2024年4月1日より前に相続したことを知っていた相続登記未了の不動産については、
2027年(令和9年)3月31日まで に相続登記をする必要があります。
2026年現在、この期限はかなり近づいています。
「昔亡くなった親や祖父母名義の土地が残っている」
という方は、早めに登記状況を確認することをおすすめします。
6.相続登記をしないと「10万円以下の過料」の可能性
相続登記が義務化された以上、期限を守らなかった場合にはペナルティが設けられています。
正当な理由なく相続登記の申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
ここでいう「過料」は行政上の金銭的なペナルティです。
「3年を1日でも過ぎたら、自動的に10万円を支払う」という仕組みではありませんが、
「相続登記はしなくても特に問題ない」という従来の感覚のまま放置することは避けた方がよいでしょう。
7.「正当な理由」があればどうなる?
相続登記を期限までに行えないことについて「正当な理由」がある場合には、過料の対象にはなりません。

法務省は、正当な理由が認められる例として、
・相続人が非常に多く、戸籍関係書類等の収集に多くの時間を要する場合
・遺言の有効性などが争われている場合
・相続人に重病などの事情がある場合
・相続人がDV被害者などである場合
・相続人が経済的に困窮している場合
などを挙げています。
(参照:https://www.moj.go.jp/content/001408564.pdf )
また、これら以外でも、具体的な事情によって正当な理由が認められる場合があります。
ただし、
「忙しかった」
「登記が義務化されたことを知らなかった」
「特に困っていなかったので放置していた」
というだけで当然に正当な理由になると考えるべきではありません。
期限が近づいている場合には、早めに対応を検討することが大切です。
8.遺産分割がまとまらない場合はどうする?
相続登記の義務化について、
「3年以内に兄弟で話し合いがまとまらなかったらどうするの?」
という疑問を持つ方も多いでしょう。
例えば父親が亡くなり、相続人が、母・長男・長女だったとします。
自宅について、
長男「自分が相続したい」
長女「売却してお金で分けたい」
というように意見が対立し、3年以内に遺産分割協議がまとまらないこともあります。
このようなケースに対応するために設けられているのが、「相続人申告登記」です。
9.「相続人申告登記」とは?
相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に履行するために設けられた制度です。
登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出ることで利用できます。
相続人申告登記では、申出をした相続人の氏名や住所などが登記されますが、相続人の持分までは登記されません。
また、相続人の一人が単独で申し出ることもできます。
つまり、
「遺産分割がまとまらないから何もできない」と考えて3年間放置する必要はありません。
期限内に相続人申告登記の申出をすることで、基本的な相続登記の申請義務を履行することができます。
10.相続人申告登記をすれば、その後は何もしなくていい?
相続人申告登記は、通常の相続登記そのものではありません。
例えば相続人申告登記を行った後、
「自宅は長男が取得する」という遺産分割協議が成立したとします。
この場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、その遺産分割の内容を反映した相続登記を行う必要があります。

つまり、
相続発生
↓
3年以内に遺産分割がまとまらない
↓
相続人申告登記
↓
その後、遺産分割成立
↓
遺産分割成立から3年以内に相続登記
という流れになります。
相続人申告登記をしたからといって、最終的な名義変更がすべて完了するわけではない点に注意しましょう。
11.3年以内に遺産分割が成立した場合は?
反対に、3年以内に遺産分割協議がまとまった場合には、その内容に基づいて相続登記を行います。
例えば
父親死亡
↓
相続人は母・長男・長女
↓
「自宅は長男が取得する」と遺産分割成立
↓
長男名義へ相続登記
という流れです。
不動産を誰が取得するのかが早い段階で決まっているのであれば、相続人申告登記を経由せず、遺産分割の内容を踏まえた相続登記を期限内に行う方法があります。
12.遺言書がある場合は?
亡くなった方が遺言書を残している場合も、相続登記の義務化と関係します。
例えば遺言書に「自宅の土地・建物は長男に相続させる」と記載されており、
長男が遺言によってその不動産を取得したことを知った場合には、原則としてその取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記を行う必要があります。
そのため、「遺言書があるから登記しなくてもよい」ということにはなりません。
遺言書が見つかった場合には、その内容を確認したうえで必要な登記手続きを進めましょう。
13.相続登記を放置すると過料以外にも問題がある
相続登記をしないことによる問題は、過料だけではありません。

・相続人が増えてしまう
例えば父親が亡くなった後、相続登記をしないうちに相続人である長男も亡くなった場合、長男の配偶者や子どもなどへさらに相続が発生することがあります。
相続が何代も重なると、関係する相続人が増え、戸籍収集や話し合いが複雑になる可能性があります。
・不動産を売却できない
亡くなった方の名義のままでは、相続人がそのまま自己名義の不動産として売却することはできません。
売却を予定している場合には、原則としてその前提として相続登記を行う必要があります。
・面識のない親族との話し合いが必要になることも
相続登記を何十年も放置すると、当初数人だった相続人が十数人、場合によってはそれ以上に増えることもあります。
知らない相続人たちと、話し合いをして遺産分割協議書を作成したり、印鑑証明書を集めたりすることは簡単ではありません。
連絡が取れない相続人がいると、遺産分割調停などの裁判手続きを検討せざるを得ない場合もあります。
14.相続登記の義務化チェックリスト
次の項目に一つでも当てはまる方は、不動産の登記状況を確認してみましょう。
□ 親が亡くなったが自宅の名義を変更していない
□ 祖父母名義の土地が残っている
□ 2024年4月1日より前の相続だから関係ないと思っていた
□ 親が亡くなってから3年近く経っている
□ 誰が不動産を相続するか決まっていない
□ 相続人同士の遺産分割協議がまとまらない
□ 親がどの不動産を所有していたのか分からない
□ 山林や農地などを相続した可能性がある
□ 共有名義の土地があるが登記手続きをしていない
□ 登記簿を確認したことがない
特に、2024年4月1日より前に発生した相続で、現在も亡くなった方名義の不動産が残っている場合には、
2027年3月31日 という期限を意識して早めに確認することが重要です。
15.まとめ|相続登記は「そのうち」ではなく期限内に
相続登記は、2024年4月1日から義務化されています。
重要なポイントを整理すると、
・不動産を相続したことを知った日から原則3年以内
・2024年4月1日より前の相続も対象
・古い相続については2027年3月31日が重要な期限
・正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の可能性
・遺産分割がまとまらない場合には相続人申告登記という制度がある
・相続人申告登記後に遺産分割が成立した場合は、原則として成立日から3年以内にその内容を反映した登記が必要
ということになります。
特に、
「何年も前に亡くなった親名義の自宅が残っている」
「祖父母名義の土地がある」
「相続した土地を一度も確認していない」
という場合には注意が必要です。
時間が経過すれば、その間にさらに相続が発生して相続人が増え、必要な戸籍や話し合いの相手も増える可能性があります。
不動産の相続登記について、
「自分の場合の期限が分からない」
「古い相続なので相続人が分からない」
「必要な戸籍を集めるのが大変」
「遺産分割協議書の作り方が分からない」
「祖父名義の土地から登記が変わっていない」
といった場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
相続登記の義務化をきっかけに、親や祖父母名義のままになっている土地・建物がないか、一度確認してみましょう。
